2011年12月10日の土曜日から11日の日曜日早朝にかけて日本各地で皆既月食(かいきげっしょく)を観察することができました。
今回は月の欠け始めから皆既食を経て元の満月へ至るまでの月食全行程が観測できる月食で、2000年7月16日以来11年ぶりの天体ショーなのだそうです。
皆既月食
皆既月食とは?
ところで皆既月食がどういう現象かというと、太陽の光を反射して輝く満月が地球の影に入り、少しの時間だけ太陽の光が月面に当たらなくなる現象です。
月・地球・太陽が完全に一直線に並ぶ日しか皆既月食はみることができません。
2011年12月10日の皆既月食全行程
今回日本で見られた皆既月食のタイムテーブルは以下でした。
月食の状態 | 時刻(国立天文台発表) |
---|---|
半影食が始まる | 2011年12月10日 20時31.8分 |
部分食が始まる | 2011年12月10日 21時45.4分 |
皆既食が始まる | 2011年12月10日 23時05.7分 |
皆既食が最大を迎える | 2011年12月10日 23時31.8分 |
皆既食が終わる | 2011年12月10日 23時58.0分 |
部分食が終わる | 2011年12月11日 01時18.3分 |
半影食が終わる | 2011年12月11日 02時31.7分 |
およそ7時間かけて皆既月食が起こりました。
皆既月食の全行程
10日 21時55分頃 部分食開始10分後の月
2011年の皆既月食が始まりました。まずは「部分食」満月の一部に影が落ちて切り取られていきました。月食は、通常の月の満ち欠けと違い虫食いの様にえぐれた格好になります。
影になった部分の様子がわかる様に明るめな写真になっていますが、実際には影になった灰色部分がかすかに見えるかといった程度でした。シャッタースピードを1/4秒と遅めに設定して撮影したのがこの写真です。
10日 22時10分頃 部分食が徐々に大きくなってきました。
部分食が始まってから30分を迎えようとしている頃です。まだ半分にもかかっていませんが、影の部分がはっきりとしてきました。
影の部分も若干の光で照らされているため、肉眼では確認し辛かったのですが、シャッタースピードを1/2秒で撮影した写真では月の模様が見て取れました。
10日22時30分頃 影の部分は赤みを帯び、神秘的な様相に。
部分食が始まって45分、月の半分が地球の影に隠れました。
これだけ隠れると輝きはだいぶ弱まり、肉眼でも影の部分の模様が確認できる様になってきました。皆既月食の特徴である、赤銅色(しゃくどういろ)と呼ばれる赤い色も観察できます。
10日 22時55分 皆既月食が始まりました。
タイムテーブルによれば、あと10分足らずで皆既食が始まろうとしているところです。月が太陽に照らされた部分は右下隅のわずかな部分しかありません。
赤銅色も目視でしっかり確認できる様になりました。月にカメラを向けている私を見て月に気付いた通行人も「なにあれ!?」と驚くほどのどすぐろい赤さでした。
部分食も終わり、いよいよ皆既食に突入です。
10日 23時10分 皆既月食に突入
皆既食が始まり5分後の様子です。地球が大きいため、月はしばらく地球が落とす影の中です。今回の皆既月食では50分程度、皆既状態が続きました。
赤銅色と呼ばれる、うっすらとした赤を呈した満月が観察できました。
この赤い色の色合いは、影となった月へわずかに届く光の加減によって変わるため、皆既食によって違う色が見られるそうです。
11日 00時00分 皆既食終わりを迎える
影となった月の反対側から光が差し込み、いよいよ皆既食が終わり部分食が再開しました。
天体ショーの開始から3時間半、皆既月食の開始から50分が経過しました。長い時間ですがあっという間に感じられました。日付も変わり新たな夜明けの始まりです。
11日 00時25分 次第に明るさを取り戻す月
月は、最初の部分食とは逆の流れで月は明るさを取り戻していきました。
地球が影を落としているので影の部分が円形に月を切り取っています。光と影が隣り合う姿がとても神秘的です。
11日00時50分 皆既月食もいよいよ終わり
最初の部分食が始まってからおよそ4時間が経過しました。後半の部分食もいよいよ大詰めです。
影の部分は残りわずかになり、月の輝きもだいぶ増してきました。寒さで手もすっかりかじかんでますが、もうひとがんばりです。
冬の深夜の撮影では、防寒対策もしっかりしておかないといけないことを痛感しました。寒いと電池の消耗が激しいことも盲点でした。
11日01時20分 部分月食終了、もとの満月へ
ついに後半の部分食も終わり、姿をもとの満月へと変えました。右下がうっすら黒くなっているのは、まだ地球の影が若干月にかかっているためです。半影食と呼ばれている状態です。
望遠で撮影しているから分かる程度で、地上から肉眼で見る限りではほとんどわかりませんでした。
明るさもだいぶ明るくなり、真夜中にも関わらず立てた三脚から影が伸びているのがはっきりわかる程に戻りました。月食を観察して改めて月の明るさを実感できました。
撮影ノート
今回の撮影は、デジタル一眼の Nikon D5100 と標準のレンズセットで購入したズームレンズを装着しての撮影でした。
デジタル一眼のズームレンズセットで十分撮影可能
標準のズームレンズでは月にここまでしか寄ることはできませんでしたが、それでも十分な月食撮影ができました。高価な超望遠レンズがなくても天体撮影は楽しめました。
今回はシャッタースピードを1/4秒〜1.5秒と変えながら撮影しました。三脚でしっかりと固定し、レリーズでシャッターを切りブレを防げば十分撮影できます。
寒さ対策がカギ
都市部とはいえ真冬の深夜の撮影は、寒さが応えました。手がかじかんでカメラワークに支障を来すほどでしたので、手袋など防寒対策は必須です。
電池も寒さの影響で7時間の撮影で満充電した電池が2本使いました。経年劣化でへたっていたということもありますが、電池は多めに持って撮影に臨みましょう。
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